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NCAAマーク・エマート会長講演のサマリー

830日、ジャパンコーチズアソシエーションの協賛社であるドームは、その本社有明HQ内において、米国における大学スポーツの統括組織である全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Assosiation以下、NCAA)のマーク・エマート(Mark Emmert)会⻑をお招きし、講演会を開催いたしました。

講演内容のサマリー版を共有させていただきます。
政府が日本版NCAAの設立に向けて動き出した今、日本版NCCAのあるべき姿を考え、日本における大学スポーツ改革の理解が深まる内容となっておりますので、ぜひご覧ください。


◎ NCAAマーク・エマート会長講演のサマリー


NCAAのルーツと理念

・110年前のアメリカの大学スポーツは日本と似たような状態だった。アスレチックデパートメントもカンファレンスも、大学を統括するルールもなかった。1900年代初頭にアメリカンフットボールで死亡事故が頻発したことから、安全面のリスクが問題になった。「改革への意志」を持つ65校の大学の学長達が当時のセオドア・ルーズベルト大統領に進言し、NCAAの原型となる組織がスタートした。NCAAは選手の安全管理から始まった。

・NCAAが不変の理念として大切にしているのが以下の三原則。NCAAの活動目的は収入を増やすことではない。米国の大学スポーツは莫大な放映権料を中心に、何百万ドルというお金を生み出す一つの産業だが、収入分布を見れば黒字は一握りの大学だけで、ほとんどは赤字。

①Academics(教育):スポーツと学業を両立させ、学生の教育の手助けをする

②Well-Being(健康):学生たちの健康に資する

③Fairness(公平性):ルールを策定しフェアに競技が推し進められる

・赤字でもなぜ各大学が取り組むかと言えば、スポーツプログラムは収益だけではない大きなメリットを生み出すから。メディアに露出することで知名度が上がり、入学志願者数が増える。現役の学生、全米に拡散する同窓生や地域との連帯感を生み出し、ロイヤリティーを醸成する。米国の大学では、それによって得られる寄付収入も大きな資金源となっている。多くの大学にとって、スポーツプログラムは投資として位置づけられている。子どもの数が減少し、大学の数が増えている現在の日本において、生き残りを図ることは大変。スポーツプログラムは学校の価値を高めるために、大きな役割を果たすはず。

・NCAAとは基本理念に賛同した各大学の集合体であり、あらゆる意思決定は学長やAD自身が行う。その中でのNCAAの役割は意思決定プロセスへの支援と、ガバナンス体制の維持。具体的には以下の役割を担う。

① 学業の成績をチェック

② 健康面、医療面でのルール改正

③ ルール策定のサポートと監督

・われわれのやり方がすべて正しいわけではない。NCAAをそのまま真似るのではなく、日本の大学の環境に則した独自の有機的なシステムを作る必要がある。2020年の東京五輪が迫る今というタイミングで大学スポーツ改革が動き出すことには、大きな意義を感じる。

 
Mark Emmert(マーク・エマート)

2010年10月、NCAA5代目会長に就任。主に学生アスリートの安全対策や、学業成績向上のためのプログラムに注力。ディビジョン1の統治体制の改革も先導する。NCAA会長就任前は、母校ワシントン大学学長及び名誉教授を務め、約2600億円規模のファンドレイジングキャンペーンを成功させるなど、手腕を発揮した。シラキュース大学行政学科の修士号と博士号、マンモス大学人文科、モロイ大学政治科の名誉博士号を取得している。